スポーツ+ITで選手支援 スタートアップが技競う

スポーツとIT(情報技術)を組み合わせる「スポーツテック」で選手を支えるスタートアップが増えているそうです。事例も含めていくつか面白い記事があったのでご紹介します。

ドローン(小型無人機)でサッカーの練習を上空から撮影したり、選手の睡眠や健康状態を管理するアプリを提供したりする黒子役の新興企業にプロチームも頼ってきています。事業拡大や海外展開に向けた技術開発も進んでいます。

ケース①

「上空からの映像で戦術を細かく確認できるので、選手へのフィードバックの質が上がる」。サッカー東北社会人1部リーグの「いわきFC」の岩清水銀士朗最高執行責任者(COO)は8月から練習に本格導入するドローンに期待を寄せています。

ドローンの制御ソフト開発のセンシンロボティクス(東京・渋谷)が操縦や活用法を指導。いわきFCの運営母体は、米スポーツブランド「アンダーアーマー」の国内総代理店のドーム(東京・江東)で、センシンロボはドームと連携して、アメリカンフットボールなど他競技にもドローンを売り込む狙いです。

ケース②

そして、こちらは野球関係の話です。ネクストベースという企業の解析システムでは、野球で投手が投げたボールの特徴を数値化します。キレのある変化球は他のピッチャーの投球と比べて回転軸が大きく違う――。ネクストベース(東京・品川)はカメラやレーダーで野球のプレーを解析し、ボールが回転する速度や軸を割り出すシステムを開発しました。投手の投げたボールの特徴を球種ごとに数値で示すことが売りもので、プロ野球の巨人や中日に納入しているそうです。

野球をはじめ、色々なスポーツ業界がAIのおかげで新たな進化を遂げそうですね。

スポーツテックの分野には富士通が人工知能(AI)で体操を採点するなど大手も参入していますが、新興企業の活躍が目立ちます。

NTTデータ経営研究所の河本敏夫アソシエイトパートナーは、「ユーザーの要望を細かく取り込むスタートアップの強みが生かせる」と分析。

ベンチャーキャピタルや大手企業の新興企業投資も活発で資金が調達しやすい環境もあります。ネクストベースは2018年夏に第三者割当増資を実施、NTTぷらら(東京・豊島)などから数億円を調達しました。

国もスポーツを成長産業に位置づけています。チケット代や放映権、スポーツ用品や教室なども含めたスポーツ関連の市場規模は14年で6兆7千億円だったが、政府は25年に倍以上の15兆円に伸ばす目標を掲げています。

ラグビーワールドカップ(W杯)や20年の東京五輪・パラリンピックが好機になると見ています。

ケース③

「海外展開の足がかりにしたい」。ユーフォリア(東京・千代田)の宮田誠代表取締役も五輪に期待を寄せています。

この企業は、選手の疲労度や睡眠時間など健康状態を記録・管理するアプリ「ワンタップスポーツ」を提供、7人制ラグビーやフェンシング、ブラインドサッカーなど15競技の日本代表チームに採用される予定です。

「他国のチームの目に触れる機会も多いはず」 アプリはプロから学生まで約300チーム、1万人程度の利用者を抱えています。学生の利用料は月300円からですが、監督やコーチが選手のコンディションをデータで比較できる機能をつけたプロ向けでは年間数百万円のケースもあります。

現在は開発費がかさみ赤字ですが、「契約チームを毎年2倍に伸ばして1~2年後には利益を出せる」と宮田氏は語っています。

米プランケット・リサーチによると世界のスポーツ関連産業は18年で1兆3340億ドル(約143兆円)と巨大市場です。

NTTデータ経営研の河本氏は、「日本のスタートアップが本格的に成功するには、最初から海外展開をにらんだビジネスモデルが必要だ」と指摘します。

先行事例は06年にオーストラリアで設立されたカタパルトです。全地球測位システム(GPS)機能付き小型端末とセンサーのデータを組み合わせて、サッカーなどの試合で選手の走行距離や方向転換を細かく計測。スポーツウエアと一体化した製品を120カ国以上で販売します。 日本でも導入が進んでおり、サッカーのJリーグでは全55チーム中19チームまで増えたといいます。GPS端末だけでなく、スポーツ映像解析の企業を買収し、走行データと映像を組み合わせた分析を提供するなど事業を広げています。スポーツ分野で新興企業が成長を続けるには、小さな市場に依存しないビジネスモデルの構築も必要になるのでしょう。

新興企業などもクラウドファウンディングなどで資金を集めるのも手でしょうし、これからどんどんベンチャー企業などが出てきて欲しいものですね。

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