悪手って言葉、知ってますか?最近ホリエモンの発言でも話題になり、私も知らなかったので勉強しました。
あくしゅ【悪手】
碁・将棋で、自分の形勢を不利にする悪い手。まずい手。
ちなみに、ホリエモンの発言は下記。
「NHKが受信料の支払いを拒否している「NHKから国民を守る党(N国)」党首の立花孝志前参院議員(52)に対し、2カ月分(8、9月分)の受信料4560円の支払いを求める訴訟を東京地裁に起こしたことについて、「最悪の悪手」と私見を述べた。」
豆知識は以上にして、今日は会社での人との接し方のコツみたいなことをテーマにお話ししようと思います。
今日の目次
- 禁止が逆効果に?
- カリギュラ・ロミオとジュリエット効果
- 聞き上手
- 自責の重要性
禁止が逆効果に?
不正会計、私的流用、情報漏えい、偽装、ハラスメント……企業の不祥事は後を断ちません。その度に、「ルールの徹底」「指導管理の強化」「違反者の厳罰化」が声高に叫ばれます。
たとえば、昨年、航空会社で乗務員の飲酒問題が大きくクローズアップされました。「搭乗24時間前の飲酒禁止」の徹底に加え、年末は一般社員の飲酒自粛令まで出されたそうです。気持ちは分かるのですが、この手の対応が別の問題の火種にならないか心配です。
気になることの一つは、節度を持って飲んでいる人や、乗客の命を預かることのない人に対しても、一律で厳しい目を向けたことです。「連帯責任だ」と言わんばかりに。
ごく少数の逸脱者のために、みんなが迷惑を被る。個人主義の時代に、そんな考え方が従業員のやる気や連帯感を下げることにつながらないでしょうか。下手をすると、「なんで私まで」と納得できない人が、新たな不祥事を引き起こさないとも限りません。考えてみれば当然ですよね。ちゃんとしていた人がかわいそうです。
もう一つは、禁止すればするほど、「飲みたい」「何が悪いんだ」という心理を助長しないか、です。禁止されると、かえってやりたくなるものですから。
結果、裏でコッソリと飲まれたら、問題が隠れてしまい、コントロールできなくなります。ルールの抜け穴をつく人が現れると、さらなるルールの強化を招き、イタチごっこが始まります。
良かれと思って打った対策のせいで、かえって問題を大きくしてしまった。解決が難しい問題でよく起こるパターンです。
カリギュラ効果・ロミオとジュリエット効果
これらの効果、聞いたことあります?まず、「カリギュラ」は、最近アマゾンビデオで今田さん東野さんがやっている人気番組のタイトルでもあるので知っている方もいるかもしれません。
カリギュラ効果とは、禁止されるほどやってみたくなる心理現象のこと
由来は、カリギュラという名前の過激な映画が、アメリカの一部地域で公開禁止となり、かえって世間の注目を集めたことから名づけられました。
皆さんも「絶対に見るな」と言われたら無性に見たくなりませんか?ダチョウ倶楽部の上島さんではないですが、あれも似たような心理を突いていて、「絶対に押すなよ」と言ったら押すという流れですよね。(笑)鶴の恩返しでお爺さんが部屋を開けてしまうのも、みんなカリギュラ効果の仕業です。
私たちは、たくさんの人と意見や利害を調整しながら、この社会を生きています。時には、こちらの意に従わせるために、説得・強制・禁止などを用いて、相手の思考や行動をコントロールしようとします。
ところが、人は自分のことは自分で決めたいという「自己決定の欲求」を持っています。それができたときに、自分でやり遂げたという「自己効力感」を得ることができます。
そのため、説得・強制・禁止によって自由が制限されると、反発や抵抗をしようとします。これが心理学者J・ブルームが提唱する「心理的リアクタンス」です。
そして、ロミオとジュリエット効果とは、 主に恋愛などにおいて、障害があった方が逆にその障害を乗り越えて目的を達成しようとする気持ちが高まる心理現象のこと。不倫や禁断の恋にドップリはまってしまうのも、道徳的に許されない行為だから、と言われています。経験のある方は、思い当たる節がないか、胸に手をあてて考えてみてください。
聞き上手
聞き上手はモテると言いますよね。話したくなる気持ちは分かりますし、聞くだけでは人間はつまらないものです。ビジネスシーンに目を転じて、心理的リアクタンスとの付き合い方を考えてみましょう。
たとえば、書店のビジネス書の棚をのぞけば、営業の極意を説く本が山のようにあります。内容でほぼ共通しているのは、「話し上手」ではなく「聞き上手」を勧めていること。
下手な営業は、一所懸命に商品や提案を説明し、顧客を説得しようとします。売り込めば売り込むほど、心理的リアクタンスを生み、買う気を削いでいることも知らずに。
対する有能な営業は、顧客の不満や不安を受け止めながら、自分で考えられるように思考のプロセスをアシストします。そうやって、顧客が自分で答えを見つけ、自分自身を説得するようにもっていくわけです。
部下に接するときも同じことが起こります。
上司から、「絶対に3時までだぞ」「本当に間に合うのか」「遅れは許されないぞ」と何度も念押しされると、部下はどんな気持ちになるでしょうか。わざと「やってみないと間に合うかどうか……」と返事をはぐらかし、期限ギリギリに仕上げたくなります。勉強しようと思ったときに、親から「勉強しろ」と言われてやる気がなくなる、あのパターンです。
心理的リアクタンスを避けたければ、「何時までならできる?」「もう少し早められない?」と尋ねて、自分で決めてもらうようにします。上から目線にならないように気をつけながら。
自責にとらまえる
自責の念というのは非常に大切なことです。すべてにおいてです。
誰かと意見がぶつかるときも、考え方はまったく同じです。
私たちは、どうしても自分の正しさを主張して、相手を説得しようとします。しかも、意見の元になる信念や価値観など、相手が大切にしているものを否定しようとしてしまいます。「その考えはおかしい」「そんなことを言っているからダメなんだ」と。
ところが、そう言われて相手の考えを素直に受け入れる人なんていません。それどころか、大きな心理的リアクタンスを生み、「絶対に譲らないぞ」と、さらに自分の考えに執着するようになります。相手に対する敵意も高まり、逆効果になるだけです。
そうではなく、相手の信念や価値観を一旦は受け入れてみましょう。「同意はできないけど分かるよ」「そういう風にも考えられるね」「それはそれでもっともな話だと思うよ」と。
そうすれば、いらぬ抵抗を生まずにすみます。「分かってくれるなら、原則は変えないけど、この程度なら譲ってもいいよ」と、相手も融通が効かせやすくなります。北風ではなく、太陽が旅人のマントを脱がすことに成功するのです。
こんな風に、私たちは知らず知らずのうちに、相手に心理的リアクタンスを生じさせていることがあります。ときには、不用意な発言や高飛車な態度によって、まったく意図しないうちに。
もし、あなたに反発している人がいたら、相手が悪いのではなく、自分の振る舞いに原因があるのかもしれません。関係改善に向けて、自分ができることを探してみてはいかがでしょうか。
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