キレる上司は「害悪」 「職場ストレス」のコストは年間5000億ドル?! 上司により会社人生決まる?!

職場に1人はいる無礼な上司

社会人経験が長い人や、ブラック企業などにお勤めの方なら、こんな上司に出くわしたことがあるかもしれません。

  • 部下を人前であざける、軽く扱う。
  • 部下の仕事ぶりをつねに過小評価し、部下の地位は低いと思い込ませる。
  • 部下を心が傷つくほどひどくからかう。
  • 成功したときの手柄は自分のもの。でも問題が生じたら他人のせい。
  • まだ会話の途中なのに自分が興味を持てないからといってその場から立ち去る
  • 会議中なのに電話に出る

どれもこれも上司以前に、大人として、人間として、どうしようもない態度ですね。

そして、こうした無礼な態度は人の健康にも大きな悪影響を及ぼすことが、最近の科学的研究によって明らかになってきました。

まず、無礼な態度は、人の免疫システムを害することがあるんです。そのせいで循環器系の病気、がん、糖尿病、潰瘍などにかかるおそれまであります。

テルアビブ大学のアリー・シロムらは、金融機関や工場、医療機関など、さまざまな職場で働く820人の大人を20年にわたって追跡調査しました。

シロム教授らは、被験者となった人たちに、職場の環境は、上司の態度はどうか、同僚は友好的に接してくれるかなど、同じ質問を何度も繰り返し、同時に全員の健康状態の変化を詳しく監視し続けました。

勤務時間の長さ、仕事の負荷、与えられている権限、裁量の大きさなどは、直接、寿命の長さには影響していませんでした。重要だったのは、共に働く人たちの態度が協力的、友好的かどうかだったかということです。

これは分かる気がしますが、私としては、「勤務時間の長さ」も絶対に関係あると思います。勤務時間が長いと間違いなく心身に悪影響を及ぼすことは分かっています。

また、職場に友好的でない人がいると、死亡リスクが高まることもわかりました。例えば、中年と呼べる年齢の会社員の場合、同僚が友好的でない人は、友好的な人に比べ調査期間だけで約2.4倍の人数が死亡しているとのこと・・・。

これは恐ろしいですね。極端な例かもしれませんし、すべてに当てはまるとは言いづらいと思いますが、友好的に越したことはないでしょう。

職場に無礼な人がいると、そこで働く人たちの心の健康にも悪影響があることが、調査によって明らかになっています。当然、ストレスにはほかの要因もありますし、私生活で無礼な人に会うこともあるので、そのストレスの影響もあるでしょうが・・・。

でも、それを考慮したとしても、職場の無礼な人たちが心の健康に与える悪影響が大きいことは否定できません。

職場のストレスのコストは年間5000億ドル

アメリカ心理学会(APA)の試算によれば、職場のストレスによってアメリカ経済にかかるコストは1年に5000億ドルにも上るといいます。

なんと仕事上のストレスが原因で毎年5500億日もの就業日が失われ、職場で発生する事故の60~80パーセントはストレスが原因で、アメリカ人の通院の約80パーセントがストレスに関係しているともいわれるのです。

アメリカ国立労働安全衛生研究所(NIOSH)の報告によると、日々ストレスを感じながら仕事をしている労働者は、そうでない労働者に比べ、医療にかかるコストが46パーセント高いといいます。

そしてストレスの大きな原因の1つとなっているのが、人間関係の問題。ストレスの半分はこれが原因です。

ここでは半分と言っていますが、心理学者のアドラーは、

「すべての悩みは人間関係である」

と言っています。私もそう思います。

無礼な人間が害になるのは、医療費が高くなり、病欠が増えるからだけではありません。

17の業界の800人の管理職、従業員を対象に、私が同僚のクリスティーン・ピアソンとともに実施した調査では、職場で誰かから無礼な態度を取られている人について次のようなことがいえるとわかりました。

・48パーセントの人が、仕事にかける労力を意図的に減らしている。
・47パーセントの人が、仕事にかける時間を意図的に減らしている。
・38パーセントの人が、仕事の質を意図的に下げている。
・80パーセントの人が、無礼な態度を気に病んでしまい、そのせいで仕事に使うべき時間を奪われている。
・63パーセントの人が、無礼な態度を取る人を避けるために仕事に使うべき時間を奪われている。

無礼な態度の人が職場にいると、管理職の時間もそれによって奪われることになります。『フォーチュン』誌に掲載された人材派遣会社アカウンテンプスの調査結果によれば、フォーチュン1000企業の管理職、幹部は、社員間の人間関係の修復、あるいは無礼な人間による悪影響への対応のため、職場での時間の実に13パーセントを奪われているといいます。

これは、1年のうち7週間をそれに費やしている計算になるそうです。

つまりその時間は、今後の戦略を立てる、顧客との関係を深める、社員を指導するといった中核の活動に使えていないということになりますよね。余計な作業が増えるってことです。さらに、事態の打開のため、コンサルタントや弁護士の力を借りたりすれば、コストは莫大なものになるおそれもありますしね。

さらに、一度侮辱的な発言をされると、された側の人たちの頭にはすぐに否定的な思考が染み付くという問題もあります。否定的な思考は頭に居座り、否定的な行動へと変換されます。

これも凄く分かります。一度、上司の嫌な場面を見てしまうとそれが染みつくのは間違いありません。私も、前の会社の社長が、電話で、「ふざけんなよこの野郎」と吐き捨てていて、正直ドン引きしました。

と、同時に絶対こんな人にはついていかないし、自分も絶対こんな上司にはならないぞ、と改めて誓いました。(上司自体に私はなるか分かりませんが。)

他に実施した調査でも、一度誰かに無礼な扱いを受けると、他人に協力しようとする人は3分の1に減り、他人と何かを分かち合おうとする人は半数以下に減ることがわかっています。

すごくわかりますね。集団の中にひどい態度、無礼な態度を取る人間が1人でもいると、それによって生じた悪感情は伝染して集団内に広がり、態度の悪い人は増える傾向にあると思います。中には攻撃的、好戦的ともいえる態度を取る人も現れます。

私も前に所属していた課で完全に汚染されていました。ちょっと場面は違うかもしれませんが、私が居た課の場合は、上司ではなく、課にいた女性がうるさくて、調子に乗っていて上司に失礼な態度を冗談とはいえとっていたんです。そううのがとても我慢できなかったんです。課長にも友達みたいに接したりするし、そういうところが野放しになっているのが私には我慢できませんでした。そのころの私のストレスは相当なものでした。そこでどう思考を持っていくか、どう考えられるかが人間の器の大きさとも言えるかもしれませんが、私はどうにも我慢できませんでした。相当ストレスが溜まりました。一生同じ課ではないからと思い耐えるしかありませんでした。それに、良い自分というものをどんどん出せなくなっていき、私のイメージも悪くなったと思います。しばらくしてまたその課の近くに戻りましたが、その課員は何も反省していないようなので、もう諦めています。相変わらずうるさいですし、なるべく顔も見ないようにしています。一言でいうと、職場モード・仕事モードではないんですよね。

無礼な態度を軽く見てはいけない

理不尽な扱いを受けた人はどうしても、その後、集中力、注意力を削がれてしまいます。そうなると、自分の持てる力を最大限に発揮するのは難しいです。

しかも、直接、理不尽な扱いを受けた本人だけではなく、それを見ていた周囲の人も悪影響を受けるそう。無礼な態度は、あらゆる人たちから大事なものを奪い取ってしまいます。

まさに・・・上記の私の経験から言っても間違いないです。 私の場合は、部下が課長に失礼な態度をふざけながらでもとっていましたが、それも悪影響を及ぼすと断言できます。

誰かに無礼な態度を取られると、人の心はジェットコースターに乗って恐怖を味わったときのようなストレスにさらされるそうです。ストレスは認知能力の低下を招き、そして時に身体の健康までも損なうことがあり、持っているはずの力を発揮できなくなるそう。

無礼な態度を軽く見てはいけません。ほんのちょっとした言葉、態度が重大な影響を及ぼすことがあります。しかも、特定の個人だけでなく、組織全体に影響が及ぶことも多いのです。もっとこの問題について真剣に考えるべきだと思います。

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