プロ経営者によるビジネスパーソンの掟 カルビーを元気にした10カ条の掟

プロ経営者の松本晃氏は、2009年にカルビーの会長兼最高経営責任者(CEO)に就任した直後、社員に向けて「10の考え方」を示しました。社員として必ず実践すべきこと、絶対に守るべきこと、絶えず念頭に置いておくべきことなどをまとめた10カ条で、いわばプロ経営者によるビジネスパーソンの「掟(おきて)」です。ノートに貼って、いつも読み返していた社員もいたようです。今回はその10カ条で示した考え方について書きたいと思います。私も納得した10箇条ですので、カルビー社員だけでなくすべての人に読んで頂きたいと思いブログで紹介することにしました。

今日の目次

  • 言いたいこと、全部言ったら伝わらない
  • 上司と部下、契約で責任を明らかに
  • 権限委譲で部下は元気に 会社は活性化

■言いたいこと、全部言ったら伝わらない

松本会長は、経営者はいろいろ言いたがるが、言い過ぎると逆に伝わらないので。10個にまとめたそうです。まずはそれを紹介します。

1.Commitment & Accountability(C&A=約束と結果責任)
2.人の評価はFair(フェア)に
3.会社は「厳しく」「あたたかく」
4.現状維持是即(これすなわち)脱落
5.正しいことを正しく
6.No Meeting, No Memo(ノーミーティング、ノーメモ)
7.One Dollar-OUT(1ドル-アウト)
8.すべてのコストは顧客が負担
9.報告の3原則 トラブルはすぐ報告せよ、悪いことから報告せよ、ウソをつくな
10.業務の3原則 簡素化、透明化、分権化

そして、松本会長がこの10カ条で最も重要としているのは、最初のC&A。これは会社経営の1丁目1番地で、どこに行っても変えないそう。ビジネスはすべて約束から始まり、その約束を果たしたかどうかの結果に対して責任を負わなければならないということだそうです。確かにそうですよね。

■上司と部下、契約で責任を明らかに

約束は、誰と誰がするのでしょうか。それは上司と部下です。カルビーではC&Aを徹底するため、上司と部下の間で契約書を交わすようにしたそうです。これは面白い取り組みですよね。契約ですからもちろん基本的には平等の原則が働き、一方通行ではありません。2人で話し合った結果を契約書に書いてサインする。そして1年後、約束を果たしたかどうか確認するわけです。

そして、契約書を交わすのは、まず松本会長から始めました。松本会長は自分の上司は株主と言います。これは素晴らしいですね。外国ではこのような考え方は当然のようですが、日本ではまだまだこのように考えている経営者は少ないそうです。

ただ、株主は目の前にはいないので、代わりに株主の代表である取締役との間で契約を結ぶそうです。取締役会で「今後1年間でこれとこれとこれをやります」と説明して承認を得る。そのあと、松本会長と社長の間で契約を交わす。社長は、その部下と契約を交わす。そうやってどんどん上から下へ契約を交わしていくとのこと。

そして、松本会長は制度を作るだけで満足ではなく、結果に対する責任もちゃんと取ったんです。たとえば、2016年3月期のこと。業績はよくて、営業利益は前年より16%増え、普通の会社なら全然悪くないのです、松本会長は株主と「19%増やす」と約束していたそうなのです。でも、できなかったので、契約違反となるため、ボーナスの辞退を申し出たそうです。お金には不自由していなから大したことは無いのでしょうが、まあ男気がありますよね。

松本会長は、お金が嫌いかというと、そんなことはないそうで、むしろ好きなほうだそうです。でも、自分に妥協してボーナスをもらうのと、会社の文化をつくるのと、どちらがいいかと考えたときに、彼の価値観が、文化の方を選んだということなんだそうです。かっこいいですよね。

ちなみにですが、先ほどの10箇条の中の、10番目。簡素化、透明化、分権化」という業務の3原則は、カルビー向けにつくったそうです。会社は、いろいろ決まり事をつくりたがるものですが、つくれば、必ず問題が起きますよね。それが嫌なために、私が今いる会社は制度だけ作って満足して、絵に描いた餅状態のものがたくさんあるという残念な会社です。

何かを作ると、また何かを変えて解決しようとする。変えるときは決まって、より複雑に変える。また新しい問題が起きる。放っておくと、どんどん複雑になっていく。また、偉い人たちは自分たちだけで情報を握って、何でも自分たちだけで決めたがる。

自分が会長のカルビーのように創業家が経営権を持つ会社というのは、特にそうなりがち。でも、たとえ優良会社であっても、それは同じ。だから、業務の簡素化、透明化が必要だと会長は思ったそうです。

■権限委譲で部下は元気に 会社は活性化

会長兼CEOになったとき、松本氏は権限を全部社長に譲りました。さらに社長は、自分の権限をどんどん下に譲りました。権限委譲による分権化は、とても大事だと会長は語ります。「人間は、権限を委譲されると元気になります。プレッシャーも感じますが、任されたと思うと力が出る。それで成長する。権限委譲は、人を成長させる最高のツールなんです。使わない手はない。」とのこと。

これ、すごくわかる気がします。「暇は地獄」とイケハヤさんも言っていますが、まさにそのとおりです。自分に権限があると、やる気がでる。自分が必要とされていると思えることで、自分の存在意義というのが確認できて、充実した気分にそれだけでなれるんです。

一方、何も権限がないと、暇です。バイトのように淡々と仕事をするだけです。言われたことをやるだけ。それで高い給料をもらえていればいいや、って方には打ってつけだとは思いますが、それでいいのかなって私は思います。

かくいう私も今はそのような状態です。そしてもちろんそんな現状を私は嫌だと思っています。でも今の会社は公務員的体質で変わりません。なので私は、中ではなく、外に活路を見出そうとブログやSNSなどで生きていくことを決めたんです。先はわかりませんが、やるしかないと思っています。今はそれらがモチベーションになり、日々ある意味生き生きと過ごしています。

さて、10箇条の話に戻りますね。2番目の「人の評価はFairに」も、すごく重要と語る松本会長。

人間の世界は、放っておくと好き嫌いで動くようになります。僕にだって好き嫌いはあります。しかし、会社では人を好き嫌いで評価してはいけない。公平公正に評価することが大事です。まあ、公平公正と言うのは簡単ですが、実際にはやり方が分かりません。そこで僕が言ったのは「まず簡単にやれ」です。人事部がつくる複雑怪奇な評価表なんか使うなと言いました。次は「数字でやれ。何でも数字にしてしまえ」。最後が「契約書をつくって、それに基づいて評価しなさい」です。ここで約束と結果責任につながるわけです。

公正評価・・・。本当にうちの会社に叩きつけてやりたいですね。うちは本当にお気に入り人事。問題児が引き取り手がなく、結局前の課長が異動になったところにまた付いていく・・・ってこともよくあります。普通の企業じゃ有り得無くないですか?

そして大前提としてある程度の年功序列があります。なので、ある程度までは昇格できますが、そのスピードなどはまさにお気に入り人事。そして公にはなっていませんが、残業=仕事ができるみたいなダメすぎる風習がある気がします。不満を持つ人はたくさんいます。私はもう割り切って諦めてます。

さらに松本会長は語ります。

「数字で評価するのは、営業のような分野なら簡単だけど……」という声が聞こえてきそうです。でも、人事や総務の仕事だって数字にできないことはありません。たとえば、人事だったら、「来年は優秀な新卒を30人採ります」と契約書に書けばいい。「社員の英語能力テスト『TOEIC』の平均点を30点上げます」でもいい。何だっていいんです。数字にできないものは、世の中にはめったにありません。

7番目の「One Dollar-OUT」は、ちょっと説明が必要かもしれません。アウトはクビです。「会社のカネをたとえ100円でも私用に使ったらクビだよ」ということです。イエローカードの警告はなし。一発レッドカードで退場です。人間はだらしない生き物だから、つい会社のカネを私的に使いたくなる。お金に関する躾(しつけ)をしっかりしておかないと、会社はうまくいかなくなる。その躾がきちんとしていれば、他のこともだいたい守れるようになる。それで組織が引き締まるんです。

色々と勉強になりますね。みなさんもご自分の会社と比較してみてください。

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