はじめに
世界の国々と比べて日本は祝日がとても多い国です。
にもかかわらず、昨今の「働き方改革」の中で特にいわれているのが、残業時間削減と有給休暇の取得です。
有休は取得しないと給料をドブに捨てているのと同じです。すべて使い切りましょう!
今回の新型コロナウイルス問題で、リモートワーク(遠隔勤務)を急きょ導入した企業も多かったでしょう。
職場との往復の移動時間がなくなり、自由に使える時間が増えたことで、ビジネスパーソンからの思わぬ需要が伸びている消費分野も少なくありません。
「働き方改革」が進む一方で、「休み方改革」も同時に進めていく必要があるのではないでしょうか。
諸外国との比較
日本は祝日がかなり多い国で、例えば、2019年は振り替え休日を含めると22日ありました。
英国(イングランド、ウェールズ)は8日、米国は10日、長期間のバカンスを取得するイメージの強いフランスでも11日です。
有給休暇は欧州諸国はやはり多めで、企業により26~30日程度。米国は平均14日程度のようです。
日本は20日程度の企業が多いようですので、祝日と合わせると42日と欧州よりも多いということになります。
米国で勤務する人に、「日本は来週月曜は山の日で祝日だからね」と伝えると、「えっ、先月は海の日って言ってなかった!?」と驚かれたりします。
昨今の働き方改革の中には残業削減はもちろんのこと、有休取得を義務化するような話もあります。これは素晴らしいことです。5日の計画的付与はすでに施行されていますが、そんなの少なすぎます。「有給休暇の全部取得を義務化」すべきです。
旅行サイト、エクスペディア・ジャパンの世界19か国を対象とした調査によると、日本人の有休取得率は3年連続で最下位の50%。情けなさ過ぎます。
しかしながら、「有休取得に罪悪感がある」と答えた人の割合は一番多く、あまり休み不足とは感じていない傾向にあることがわかりました。
もうどうしようもないですね。
「休み不足」に世代ギャップ
おもしろいのは、「休み不足」と感じている人には、世代間でギャップがあること。
50歳代以上の管理職はあまり休みを必要としておらず、「休み=さぼり」という意識であり、休みを仕事の意欲と関連付ける傾向にあるのかもしれません。
これまたどうしようもないです。どうせ家に帰っても妻には嫌われ、自分の居場所も無いからでしょう。そういう大人にはならないようにしましょうね。
先の調査で有休を取得しない理由について聞いたところ、日本人の第1位は
「人手不足」
さらに3位には、
「仕事する気がないと思われたくない」
という理由が上位にきていました。
体裁を気にしすぎる日本人。これまたどうしようもないですね。
これまでの日本は終身雇用がベースになっていたことから、まず人を雇ってから、人に仕事をつけていくという考え方でした。
製造業が主流だったことから、投入した時間=アウトプットであり、仕事が増えても時間を伸ばすことでうまく運用してきました。
一方、欧米では仕事に人をつけるという考え方のため、いわゆる「ジョブ型」がベースになっています。
新しい事業を作るためにチームが必要だから、最適な人をそのときどきで雇う。
逆に事業が撤退すればチームも基本的には解散です。
この雇用の違いが勤労カルチャーの違いになっているように思えます。
与えられた仕事が明確なので、期待どおりのパフォーマンスを出していればOK。
また、休暇は権利なので、しっかり調整した上でしっかり取る。
日本の場合は多くの人が総合職的な働き方なので、手伝おうと思えば他の部署であろうと無限に手伝うことができます。
これが「早く帰ったら悪いかな」といった罪悪感につながっているのではないでしょうか。
どちらが良い悪いというつもりはなく、自分がどちらの働き方を望むかだと思います。
またそれを表明することが大事です。
そうすれば、企業側もよい人材を取るためにはカルチャーを変化させる必要が出てくるでしょう。
「山ごもり休暇」にみる働き方改革
日本は転職率が低いので、職場に「急に人が辞める」という経験が少なく、このことが休みが取りづらい一因かもしれません。
ただ、今後は間違いなく転職率は上がります。断言します。
「同じ人がずっとそこにいるだろう」という安心感から、業務がどんどん「属人的」になっていく。
引き継ぐ機会もないので、書面ではなく暗黙知として人に蓄積されてしまう。
これらは、育休取得の難しさなどにも通じるでしょう。
この課題に対して、ユニークなアプローチを導入している会社があります。
ウェブマーケティングを手掛けるイルグルム(旧ロックオン)は、会社との接触を一切禁じる「山ごもり休暇」という制度を2011年から導入しています。
休みが取りづらいという社員からの声が挙がる一方で、会社側も一人でも欠けると仕事が回らない状況をリスクと捉えたようです。
海外では雇用流動性が高いため、日常的に業務を可視化しています。
そのためのツールも豊富ですし、そのことで一連の業務が見える化しており、生産性向上にも役立っています。
そして、さらに柔軟性を増したやり方として、仕事を分け合う「ワークシェアリング」があります。
ワークシェアリングの基本的な考え方は、仕事をたくさん抱えている人が自分の仕事を他の人に手伝ってもらい、仕事のない人に雇用を与えるというものです。
失業率が高い時代に重要とされる考え方です。
今後の日本は働き手不足が深刻化すると予測されています。
しかし、フルタイムで働いていた方が、出産や育児をきっかけに休職し、そのまま復帰しない例も多いです。
これは、フルタイムに求められる労働時間が生活スタイルに合わないことも原因でしょう。
もし柔軟な働き方ができるなら、仕事を続けたいという方も多いのではないでしょうか。
さまざまな事情を抱える人が、それぞれに合った形で組織に貢献でき、それを実感できる。
そんな社会を作っていきたいですね。
企業の「働き方改革」や「休み方改革」が徐々に進み、仕事以外の時間的な余裕が生まれつつあるものの、プライベートと公的生活との境界線があいまいになっている方も多いはず。
スマートフォンやSNS(交流サイト)などの利用を、ビジネスから完全に切り離すことはなかなか難しい状況もあるでしょう。
いつでも仕事ができる環境の中で、仕事から離れて完全な休みを取るためには、物理的にネットが利用できない状況を作ることが一番です。
家でもどこでも仕事が出来てしまうと、オンオフの切替がうまく出来なくなり、病んでしまう人もいます。私も実際その危険に冒されそうになったことがありました。
サウナで自分と向き合う
いまはやりの
「マインドフルネス」
ご存じですか。
それは、サウナのことではないかという説を唱える方も居ます。
マインドフルネスとは、「今、ここ」に意識を向ける心のエクササイズ。
サウナに入れば、十分に自分と向き合う時間が作れます(できれば、テレビのないサウナ)。
なにせ、スマホは持ち込めません。持ち込んだら、たぶん壊れます。
会社のメールやSNSに心をかき乱されることなく、散らかっている脳内の整理整頓をすることができます。
そして、水風呂、外気浴。これを3セットもすれば、すっきりとした本来の自分を取り戻せることでしょう。
さらに筋トレに関しては、リフレッシュの時間を手に入れられるだけでなく、将来への投資になることも見逃せないメリット。
お金と同じくらい「健康寿命」は重要。
平均寿命と健康寿命の差を縮め、介護を受けたり寝たきりになったりせず、日常生活の質をいかにキープするかを考えている人は多いでしょう。
そのためには、病気やけがになりにくい身体づくりが不可欠。
つまずいて転んだけがをきっかけに寝たきりになってしまう人も数多くいますが、主な原因は筋力不足。
老後のために十分な筋力を保つには、筋肉にも「貯蓄」の考え方が必要となります。
「忙しくてできない」という方でも、週2~3回、1回30分程度でも筋トレの効果は出ますので、ぜひ「筋肉貯金」に取り組まれることをおすすめします。
そして最後に1つ触れておきたいのが、新型コロナウイルスの影響で、
「キャンプ場の予約が埋まっている」
という話。
換気の悪い密室がよくないといわれているため、余暇も外でということなのでしょう。
パソコンを持ち込み、テレワークをする利用者などが増えているからだと言います。
「キャンプ場にまで行って仕事をしたくない」
という人もいるでしょうが、1日中特にやることもないので仕事は捗りますし、自然環境の中で朝早く目が覚めて仕事に取りかかれるので、夜は仕事を早く切り上げられます。
海外では、このように「ワーク(仕事)」と「バケーション(休暇)」を組み合わせた「ワーケーション」という考え方は普及しています。
日本も景気が良かった時代は、出張の前後に旅行を組み合わせて地方へ出かけていたビジネスパーソンも多かったでしょう。
今はどこも余裕がないので、このように「仕事と遊びをくっつける」ことを禁止している企業もあるようですが。休み方を工夫して上手に休暇を取ることが、働き方改革につながるということにそろそろ気づくべきです。
全員が同じタイミングで一斉に休まなければならないという形態は、働き方が変化する中で、変えなければならないことの1つなのです。
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