離職を防げ、HRテック AIがリスク分析

最近はもう終身雇用制度も実質崩壊状態ですし、企業もそのつもりで採用するところが減ってきているのではと思います。

しかし、少子高齢化を背景に、中長期で国内の労働人口は減少することがもう分かっています。となると、一度採用した従業員に働き続けてもらうことの重要性も高まるのは必然ですよね。

もはや人材を「人財」として重視しない企業は選ばれない時代になっています。人工知能(AI)などテクノロジーを活用し、離職者を出さない努力をする企業での興味深い話がありましたので、ご紹介いたします。

まずは下記の画像をご覧ください。これは、とある企業が導入している、面談内容によってAIが離職率などを判断するイメージです。

たとえば、「部下の○○さんの離職リスクが高いとの判定が出たので、1週間以内にフォロー面談を実施してください」――。

これは医療事務の大手ソラストが導入しているシステムです。

ソラストは病院の受付業務や診療報酬の計算を請け負っている企業。

全国1500の病院にサービスを提供し、約2万人の医療事務スタッフを抱えています。しかし、年間約5千人を採用して1年以内に4割近くが辞めるといった悪循環が続いていました。勤務先が取引先の病院のため、ソラストへの帰属意識が希薄になりがちなことなどが影響していたといいます。

確かに、これではやりがいも何も感じにくそうですね・・・。

■辞める人の傾向分析

そこで、状況の打開に向けてソラストが導入したのがIT(情報技術)などを人事に生かす「HRテック」という技術。

AI開発のFRONTEOの技術を活用して、離職リスクを数値化できるシステムを開発。2017年から特に離職率が高い入社1年以内の従業員を対象に採り入れました。

ソラストの離職防止策は年7回という高い頻度の面談とAI活用の2本立て。入社から軌道に乗るまでの1年間を重点的に支えます。

私は、これでは足りないと思います。私の経験から言って、3年までは間違いなく必要です。それは、私が3年前後のスパンで転職することが多かったからです。1年では逆に辞めたいとか本気で思う人のほうが少ないと思います。3年たてば大体会社のことも分かりますし、本気で辞めたい人は本気で転職を目指しますし、割り切って続ける人もいますし、独立を目指して野望を持ち始める私のような人も増えていきます。

さて、このシステムの話に戻りますが、まず、過去の離職者の傾向を分析します。辞める人が増えるのが入社後2週間、1カ月、2カ月、3カ月、6カ月、9カ月、1年という7回であることがわかったそうです。そこで、そのタイミングを捉えて上司と1対1の面談を実施することにしたのです。

さらに、面談時に事前に記入してもらう面談シートのうち、悩みなどを記入する自由記述欄の内容をAIが分析。離職リスクを点数として算出します。AIは過去に退職した従業員の自由記述を「教師データ」として学習。毎月本社に送られてくる約2千人分の回答データを分析して、離職リスクが高い従業員を見つけ出します。

すごいですね、私は、この話を知るまでは、AIというのは単純なことにしか使えないと思っていました。それが、自由記述まで判定できるなんてすごいと思いませんか?

「困っていると先輩が声をかけてくれるので助かります。早く仕事を覚えて、効率良く仕事ができるようになりたいと思います」。一見前向きなコメントのようですが、なんとAIはこれを離職リスクが高いと判定。AIの判断の理由は明確にはわからないそうですが、過去の退職者の記述に似た表現があったことなどが影響しているようです。

これもすごいですね、、、逆に人間が判定していたら絶対にスルーするコメントです。もうこれは積極的にAIに診てもらったほうが良い気がしますね。

AIが見つけた離職リスクの高い人には、上司が追加で緊急フォロー面談を実施。導入当初は「AIの判断は信用ならない」など、現場からは懐疑的な意見が多かったそうですが、高リスクと判定された人と上司が面談したところ「実は…」と悩みを打ち明けられることが相次いだそうです。

仕事の内容や職場の環境には満足しているように見えても、掘り下げて質問をすると、家族の事情など仕事以外の要因がストレスとなり、転職を検討している人もいたそうです。面談での要望をもとに勤務時間を短くしたり、配置転換したりして不安要素を取り除くことで、退職の可能性の芽を摘むそうです。

絶対に、隠れ退職要員は沢山います。間違いなく居ます。このような面談はかなり有効だと思います。

実際、リスクが高いと見られる人に手を打たない場合の離職率は4割に達するのに対し、フォロー面談など対策をとった場合は2割に下がったといいます。成果が確認できたことで徐々に現場での理解も広がったそうです。HRtech推進部の菊池雅也部長は「従業員こそが重要な経営資源。今では100%フォロー面談を実施している」と話します。

従来もメンターの設置など離職防止に取り組んできましたが、十分なケアはできていませんでした。AIが人間の判断を補うことで、25%を超えていた医療事務事業の離職率は徐々に減少傾向にあるとのこと。さらにHRテックの導入を広げるために、今年4月にはHRtech推進部を設立。タレントマネジメントや評価などへテクノロジー活用をさらに進める計画です。

HRテック、私も名前を覚えました。いつかうちの会社にも導入を検討することをダメ元で提案してみたいです。

さて、次のケースは、あのエンジャパンです。「入社後1年以内」に注目するのはソラストだけではないんです

エンジャパンは顧客企業の中途入社者の定着に向けた支援サービス「HR OnBoard」を展開しています。入社から1年間、従業員に毎月3つの質問をメールで送り、回答をもとに「晴れ」「曇り」「雨」の3段階で心理状態を判定します。これまた面白い取り組みですよね。

■早期離職の損失は1人200万円

担当する越田良マネージャーは「早期退職につながる要因は3つ」と分析。入社前と後での意識のギャップを示すG、人間関係を示すリレーションのR、仕事量を示すキャパシティーのCの頭文字から、「GRC理論」と名付けました。毎月、3つの状況を尋ねる設問を用意しているそうです。

これはすごく分かりますね。みなさんも、自分に当てはめてみてください。私も自分を当てはめてみました。

G・・・改革を期待?されて入ったのに結局はなかなか変えようとしない公務員的体質の会社、そして誰でもできるような仕事ばかりの職場。入社前と入社後のギャップは悪い意味で間違いなく大きいです。

R・・・悪くは無いですが良くもない。古い考えの50代以上の上司が多いため育児休暇などへの理解が足りず、働き方改革の意味を本当に分かっているのかと言いたくなる。指示をしないので何を考えているのか分からない等々

C・・・波がありすぎる。暇なときは暇すぎて本当に辛い。自分の存在は何なんだろうと鬱になりそうになる。忙しい時が急にあったりして、「こうなることが分かってるのに何故もっと事前準備をしておかないんだ」と言いたくなる。

などなど。私は間違いなく退職につながる診断でしょうね。

さて、エン・ジャパンの試算によると、入社から3カ月以内に辞めてしまうと、採用にかかった経費や研修費用などで1人当たり200万円の損失になるといいます。

人手不足もあって、中途入社した人材の定着促進に対する関心は高まっており、外食大手の鳥貴族などなんと4800社が導入しているんです!

離職者が増えることは、企業イメージに悪い影響を与えるだけではなく、従業員のキャリア形成にとっても無駄な転職は好ましくないのはもちろんです。HRテックを活用する企業は今後広がりそうですね。

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