男性育休必須化から3年 女性が変わった リモートワークの重要性

企業で男性社員に育児休暇を取得させる動きが相次いでいます。これは本当に嬉しい限りです。私自身にとってももちろんそうですし、働くパパママさんみんなにとって良いニュースでしょう。

働く女性の育児負担を減らすには、男性社員や職場の意識を変えるしかありません。女性の社会進出を大々的に掲げているのに、男性の育休が進んでいないというのは本末転倒。これでは女性の社会進出はまだまだ難しいでしょう。

そこで、他社に先駆け、2016年に男性社員の育児休暇を必須のものとして制度を導入したのがリクルートコミュニケーションズ。制度導入から早くも3年あまり経ちました。今日はその リクルートコミュニケーションズ さんの制度の狙い等を含めてお話しします。

■男性の働き方の常識を変えたい 

女性のキャリア形成にとって、男性の働き方改革は切っても切り離せません。特にここ最近、話題になっているキーワードが「男性育休」。男性の育休取得の「義務化」を目指す議連が自民党内で発足し、6月、安倍首相に提言を申し入れたこともニュースになりました。

ただ、気になるのは、男性育休を推進してからの「その後」ですよね。

配偶者出産直後の男性社員を対象に、育児を目的とした休暇を「2日取得可能」という有休制度はもともと リクルートコミュニケーションズ にはありました。これを「最大20日取得可能」とし、「うち5日は必須」としたのが、3年前の制度変更。まあそれでも私からしたら全然少ないし甘いですけどね。最大1年とすべきです。

ただ、面白いのが、「お子さんが1歳になる月の末日まで、1日単位で何回に分けて取ってもいい」という柔軟性を持たせたこと。要は有休みたいに好きな時に休めるってことですね。

それにしても、3年前は、世の中で「男性育休」がさほど話題になっていない頃。その頃から始めたというのは頭が下がります。非常に先進的な取り組みですよね。

リクルートコミュニケーションズにとっての男性育休必須化は、「社員一人ひとりが、いかに継続的にパフォーマンスを発揮できる組織にしていくか」という成長戦略の一環だったという点が肝です。

組織が成長を続けていくには、能力の高い社員が持続的にキャリアを積むことが重要ですが、リクルートコミュニケーションズの場合、「女性活躍」が課題となっていました。今となってはどこの企業もそうかもしれませんがね。

結婚や出産といったライフイベントが重なる30歳前後の女性社員たちの中には、管理職になることに前向きになれない人の割合が多かったのです。この女性たちの意識を変えるには、男性の働き方を変えて、女性がキャリアを継続することに不安を持たない風土をつくることが不可欠。そんな考えから始まった制度改革の一つが男性育休の推進だったのです。

これにいち早く気が付いたのは本当に素晴らしいことですよね。国なんて、電通の高橋まつりさんの過労死自殺事件があって、そのまつりさんのお母さんが頑張って訴え続けたことで、やっと動いたというのに・・・。

リクルートコミュニケーションズは、当初は「必須」とせずに「権利だけ与えて、自由選択にすれば」という意見もあったそうですが、それでは「常識」が変わらないだろうと判断し、あえて「必須」としました。

こういった思い切りが間違いなく必要ですよね。思い切ったことをしなければ結局何も変わらない。うちの会社も、働き方改革の一環で、残業をしないことをアピール?するために札のようなものを机に置くなどしましょう、みたいな通達が最近ありましたが、全く意味がありません。形だけの制度。その通達をする時間も決定までかけた時間もすべて無駄。何のためにそんなことするんでしょうね。この リクルートコミュニケーションズ の思い切りを見習ってほしいです。その通達を見たうちの課長は笑ってスルーしていましたからね。結局その通達があってから10日ほど経ちましたが、私の課も含めてやっている課はいまだにありません。その状況を見て、通達を出した総務課は何を思うんでしょうか。おそらく何もしないんでしょう。作って通達を出したってことが大事だと思っているんですから。

常識を変えるにはこのリクルートコミュニケーションズのように思い切ったことが必要なんです。

そのどうしようもない常識というのはもちろん、

「男性は、仕事を休んでまで子育てや配偶者の出産に関わるものではない」

という常識。私はこの社長の考えに心から激しく同意します。

このくだらない常識を変えなければ、女性活躍は実現しないという思いが社長にはありました。本当に私もそう思います。

うちの会社でも、そんなくだらない常識を持っているのは、今50歳以上の課長以上の者たちが中心なのは間違いありません。家庭に居場所も無く、職場にしか居場所が無いような課長だとなおさら顕著です。

■「パパダイムシフト」で女性の働き方も変わった

ところで、言葉としての面白い表現に皆さんは気が付きましたか?

「義務」ではなく「必須」という表現

です。 リクルートコミュニケーションズ はこれにもこだわりがありました。役員会で話す中で「『義務』というと、少し強制的なニュアンスがあるから違和感がある」という意見が多く、「『必須』であれば、それほど抵抗は感じないのでは」と落ち着きました。

結果、これは男性社員にも自然に受け入れられたようで、制度導入の発表をした後の反応もおおむね良好で、むしろ「休み方の具体例を知りたい」といったポジティブな問い合わせが寄せられました。

そして、そのくだらない常識は、思ったより早く、ガラリと変わりました。 リクルートコミュニケーションズ では、「女性社員が仕事と家庭の両立をしていけるイメージを持てているか」という社内調査を継続的に行っている(これまた素晴らしい取り組みですね・・・)んですが、男性育休必須化の導入前の年は「両立できる」と答えた割合が30%台だったのに対し、1年後、導入した後の調査では「両立できる」が70%近くに。まさに逆転現象で、「パラダイムシフト」が起きました。

ちなみに リクルートコミュニケーションズ では、男性育児支援の施策を「パパダイムシフト」と名付けて応援しています。パパダイムシフト、つまり、男性の子育ての常識を変えていく。いい言葉ですよね。

しかし、女性社員の意識がそこまで劇的に変わった理由としては、何が一番大きかったのでしょうか。それは、16年秋に導入したリモートワークの成果もあるそうです。これまで早く帰ることに後ろめたさを感じていた子育て中の社員が、帰宅後にも在宅で仕事の続きをできるようになったのです。

リモートワークの利用率は利用経験のある社員率でいうとほぼ100%。利用ペースとしては、平均して週に1日強で、多い人は週3日程度。逆に、それ以上増えることはないようです。でも、これも物は考えようだなと思います。家庭に仕事を持ち込むようなものですから、メリハリがつかなくなって、休んだ気にならないという社員もいつしか出てくるでしょう。

しかし、子育てと仕事の両立といったことに関しては、リモートワークは非常に功を奏しているようです。 リクルートコミュニケーションズ では、子どもを産む社員が増えているのにもかかわらず、時短制度を利用する率が減りました。リモートワークを活用して子育てと仕事を両立するのが当たり前になってきたことで、復職社員の実質的な労働時間は増えているほどだそうです。

■ワーキングマザーが管理職として活躍

時短にしなくても、リモートもありますし、社内の風土も変わってきたので、フルタイムのままで復帰できそうという感覚を持てるようになった社員が多く居るのでしょうね。

リクルートコミュニケーションズでは女性管理職比率が、今では37~38%。伸びた理由として、ワーキングマザーが管理職として活躍するようになったという背景があります。時短のまま昇進してマネジャーになるケースも珍しくないそうです。

素晴らしいですね。うちの会社なんて、時短なんて取ったら、昇進が遅れるのは間違いないですからね。

企業は、働きながら子育てをしているパパママがどれだけ大変なのか、どれだけ自分の時間が無いのかをもっと勉強すべきだと思います。かくいう私ももちろん子供がいない時には子供のいる人の気持ちなんて分かりませんでした。だから、私はそのような研修があってもいいのではないかと思っています。実際の子育て中のパパママ以外の社員に、実情を知ってもらうことで理解も深まるし、会社全体として協力する体制が整ってくるのではないでしょうか。

さらにこの リクルートコミュニケーションズ 。男性育休必須化と同時に始めた制度で、就学前のお子さんの疾病時に上限2万円・回数無制限の実費支給をする制度があります。

これも素晴らしい制度ですよね。こういうところで、働き続けたいって正直思いませんか?子育て中のパパママにも優しい、非常に理解がある。気持ちを分かってくれている。心から感謝できますし、会社にも恩返しがしたいって思いません?

最近面白いのが、機関投資家に提供される非財務情報のうち「ジェンダー投資」のスコアとして注目されているのが、

「男女が平等に子育てに参加できる環境を整えているか」

という項目です。面白いのは、女性にとって、育児に参加するのが自分のパートナーではない同僚男性であっても、キャリアの安心感につながるということ。これはアクセンチュアの調査で報告されていました。つまり、職場においては「ライバル」である同僚男性と平等であることが重要なのだということです。

社会全体のためには、 リクルートコミュニケーションズ のような取り組みはどんどん広げていただきたいですね。私も積極的に発信していきたいと思っております。

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