ラグビーの稲垣さん？！「笑わない男」が持つ魅力言葉より伝わる表情の威力

1 はじめに
2 笑顔は自然に相手の心を開く
3 CAが機内で見せた「表情六変化」
4 こしらえたような「つくり笑顔」は逆効果

はじめに

2019ユーキャン新語・流行語大賞」に「笑わない男」がノミネートされましたね。惜しくも受賞はならなかったですが。

ラグビー日本代表の大躍進に我々が熱狂したのはもちろんですが、代表メンバーの一人、稲垣啓太選手の「笑わない（笑顔を見せない）」というキャラクターにも注目が集まりましたね。

近年、アスリートはトークも達者で、いつでもテレビのバラエティータレントとして活躍できそうな選手も珍しくありません。だからこそ、稲垣選手のような「ゲーム中も、そしてゲームを離れても、決して笑顔を見せない姿勢」がユニークで、強いインパクトを放つこととなったのでしょう。

稲垣選手の「笑わない顔」は、大仏様のような深淵さや慈悲深さを醸しだし、稲垣選手の魅力を大いに高めました。「笑わない男」と名付けたメディアが今は「笑顔の瞬間」を撮影しようと稲垣選手を追いかけ回していますが、ここまできたらもう徹底してもらって、もう少し「笑わない男の魅力」を愛（め）でていたいという気持ちも湧いてきます。

笑顔は自然に相手の心を開く

「笑わない」がこれほどポジティブにいわれたのは高倉健さん以来かも知れません。人々は稲垣選手のたぐいまれな集中力、突破力に加え、彼が実際にはユーモアやサービス精神をも兼ね備えていると感じればこそ、好感を持って受け止めるのでしょう。

言うまでもありませんが、コミュニケーションやソーシャルスキルに関する書籍では、

「笑顔」は

「他人に対して『あなたに会えて良かった』『あなたに心を開いています』『あなたに関心があります』『あなたが必要です』など、好意を伝える前向きなメッセージだ」

と伝えています。逆に、

「笑わない」は他者に『あなたには心を閉ざしています』『あなたを受け入れたくありません』」

など、相手を拒むメッセージだといわれます。

面接でも笑顔は非常に大事。笑顔が苦手だと言うあなたも、意識して口角だけでも上げるようにしましょう。

一般的に笑顔をはじめとする「非言語表現」は、「言葉による表現」以上に威力を発揮することがしばしば。そのことで面白い例がありましたのでご紹介したいと思います。

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CAが機内で見せた「表情六変化」

座席の上にあるスピーカーから聞こえてくる機長さんのコメントが何かの拍子か、急に大音量で聞こえてきた。周囲の人たちも「あれ？」という表情を見せた。

とっさに私は目の前を通りかけたキャビンアテンダント（以下CA）さんに向かって手を上げた。すると、彼女は機敏に駆け寄ってくださった（もてなしの表情で）。

CA「何かご不便をおかけしておりますでしょうか？（心配気な表情）」

私「いや、スピーカーの音量がちょっと」

CA「すぐに確認して参ります、少々お待ち下さい（毅然とした表情）」

即座に機内電話のあるところに走り、手際よくダイヤルをプッシュし、大きくうなずきを入れながら責任者と会話を交わした様子だ。

10秒もしないうちにアナウンスの音量は正常となったところでCAさんが戻ってきた。

CA「いかがでしょう？」（気遣う表情）

梶原「いやあ、どうも、どうも。音量、戻りました！」

CA「ご迷惑をおかけしまして」（安堵の表情）

笑顔を取り戻したCAさんが席に戻った。彼女はわずかなやり取りで「もてなし・心配・毅然・気遣い・恐縮・安堵」と、少なくとも6つの「場面に応じた表情で伝える非言語表現」を駆使して対応していた。

機内はエンジン音が伝わり、言葉を聞き取りにくい空間だ。「言葉」と同じぐらいに「表情」で伝えるコミュニケーションが重要なことをあらためて教えられた。

いわば、目は口程に物を言う　みたいなことでしょうね。

こしらえたような「つくり笑顔」は逆効果

まず、作り笑顔でも体に良いということは医学的に証明されています。

ただ、相手がいる場面などでは、単に「笑えばよい」というものではありません。笑顔を見せる場面やタイミングによってはつくり笑いだと受け止められがち。「バカにしている」「なめている」と、ネガティブな印象を与えてしまうことだってあります。「笑う」「笑わない」の使いこなしには、思ったよりも時間と手間がかかるのです。

今年のヒーロー、稲垣選手は「笑わない男」ですが、年齢を重ねた男性の方々は次第に「笑えない男」になってしまってはいないでしょうか？

一日一笑

これが私のポリシーの一つでもあります。

ぜひ、笑顔を絶やさないで生きていきましょう！