会社の半数は20年で消滅 働き方改革 サイボウズの事例も

AI(人工知能)やロボットとの共存が当たり前になる20年後、日本の会社から正社員は消えている──。衝撃的な未来を予測した厚生労働省の報告書「働き方の未来2035」が注目されています。

企業が続々と副業や兼業、在宅勤務を解禁するその先に何があるのでしょうか。今日はそのようなことを中心にお話ししたいと思います。

今日の目次

  • 未来予想図
  • 少子化問題
  • サイボウズの取り組み
  • その他、他社の取り組み
  • リモートワーク
  • まとめ

未来予想図

【2035年69歳 女性】

《50過ぎまでは、会社で経理を担当していました。でも、経理業務はどんどんAIに代替されていきました。15年ほど前に転職し、いまは地域の病院に勤めながらカウンセラーの資格も取得しました。私の仕事は、AIを使った問診のお手伝いです。患者さんは不安で「すぐ治りますよ」と声をかけるだけで気持ちの支えになり、人間にしかできない仕事です》

【2035年55歳 男性】

《自動車メーカーA社に勤めていました。自動運転技術が出はじめたころ、職場の仲間数人で「自動運転の警備巡回マシンをつくろう」と盛り上がり、本業のかたわら開発に打ち込みました。製品化して会社を立ち上げましたが、収益化には時間がかかりそうだったので、週の半分はA社に勤務し、残りの半分で自分たちの会社を経営していました。3年ほど経ったころからビジネスが軌道に乗り、A社を退職して自分たちの会社の経営に専念しました。世界各地に赴き営業し、いまでは50カ国以上の警備会社に採用されています》

【2035年80歳 男性】

《新卒で入社した会社の定年は65歳でしたが、人手不足で結局70歳まで働きました。といっても66歳からは小さな会社を起業したので、それが副業となり、71歳以降も働くことにしました。といってもインターネットで受注したボランティアの仕事です。私の専門だった仕事はすっかりAIを搭載したロボットに取って代わられたのですが、文化保護団体が昔の仕事のやり方を保存したいということで、私に仕事が来ます》  

──実はこれらは、AIなどの技術が進化した2035年を舞台とした働き方のシミュレーションで、厚生労働省が8月に発表した報告書「働き方の未来2035」に登場する未来予想図なんです。

非常に興味深くないですか?私は冗談抜きでそうなると思います。

ただ、AIの時代になるというと、どうしても、「AIに仕事を奪われる」と思いがちな方も多いと思いますが、報告書ではあくまでもAIは、人から職を奪うネガティブな存在としてではなく、さまざまな問題を解決するテクノロジーとしてポジティブにとらえられています。

《2035年にはさらなる技術革新により、時間や空間や情報共有の制約はゼロになり、産業構造、就業構造の大転換はもちろんのこと、個々人の働き方の選択肢はバラエティに富んだ時代になる》  

以前、ブログでも書きましたが、今後、AIが使われると予測される分野はマーケティング、経理、金融、医療、教育、法律、人事、警備・防犯、農業、物流、土木・建築など多岐にわたります。無くなる仕事もあるとお話ししましたよね。

代替される可能性が高いのは、認識や動作の習熟を必要とするものの、判断を必要としない定型的な単純作業、ルーティン業務です。  

一方、AIが医療画像でがんを検出した後の診断など判断を必要とする仕事、例外的な事象に対応する監督業務などの仕事は、人がAIと共存して担うことになります。

さすがにこういった大事なことや人の健康にかかわることなどは、AIだけにまかせるのは怖いですよね。

人はAIが進化するたび、学び直し、スキルアップを否応なしに要求されますが、こうした技術革新は、会社のあり方を大きく変革させるでしょう。

少子化問題

スマホ、スカイプ電話などの出現で、会社に集まらずとも会議ができるようになったのはもはや皆さん知ってますよね。AIの進化で自由度はさらに進み、時間、場所、空間に縛られない働き方が可能になります。既にそのようなことを導入している企業も少なくありません。フルタイムで毎日、勤務する必要もなくなり、介護や子育てがある人でも働きやすくなるなど働き方にバリエーションができます。うちの会社は旧態依然とした体質なので夢のまた夢でしょう。今後は、このような社会になっていくので、少子化問題も徐々に改善していくのではないかと思います。フルタイムで毎日勤務する必要がなくなる人が増えて、家に居られる時間も増えるため、夫婦の時間も増えるからです。実際にそのようなデータも既に出ています。

ちなみに、予測では、日本の人口は35年には、1.27億人から1.12億人まで減少すると予測され、高齢化率も現在の26.7%から33.4%まで上昇すると予測されていますが、変わってくるのではないか私は踏んでいます。  

さらに35年には、驚くべき社会が到来すると報告書は予測しています。

《2035年の企業は、極端にいえば、ミッションや目的が明確なプロジェクトの塊(かたまり)となり、多くの人は、プロジェクト期間内はその企業に所属するが、プロジェクトが終了するとともに、別の企業に所属するという形で、人が事業内容の変化に合わせて、柔軟に企業の内外を移動する形になっていく。その結果、企業組織の内と外との垣根は曖昧になり、企業組織が人を抱え込む「正社員」のようなスタイルは変化を迫られる。(略)企業に所属する期間の長短や雇用保障の有無等によって「正社員」や「非正規社員」と区分することは意味を持たなくなる》

終身雇用と年功序列型の日本社会の象徴、正社員が将来的に消えてしまう……。もはやこの流れは止められないでしょうね。というか、私は大歓迎だと思っていますが。

トヨタの社長の発言で大きな話題を呼んだ、「終身雇用制度終了」。もはや会社が終身雇用を維持するのは、限界にきているのは皆さまご存じのとおり。技術革新した20年後、どれだけの会社が生き残っているでしょうか?今後は倒産、リストラなど正社員であっても安泰ではない時代です。今までと違う働き方を考え、自分自身、手に職を付けなければいけなくなってきますよ。

会社がプロジェクト型の組織になれば、働き手は自分の希望に応じたプロジェクトを選択することが可能になります。複数の会社で、複数のプロジェクトに同時に従事するというケースもあり得るそうです。

これはでも楽しそうだなって思います。だって、色々な経験ができるじゃないですか。私は今でも一つの会社でずっと働くのは人生もったいなさすぎて損していると断言していますが、今後の未来は一つの会社で働き続ける人の方が少なくなりますね間違いなく。

報告書でも下記のように記載されています。

《仕事内容に応じて、一日のうちに働く時間を自由に選択するため、フルタイムで働いた人だけが正規の働き方という考え方が成立しなくなる。(略)パートタイマーという分類も意味がないものになる。さらに兼業や副業、あるいは複業は当たり前のこととなる》

サイボウズの取り組み

そして最近、早くもこうした未来予想図へ近づこうとする企業の動きが目立っているんです。中でもソフト開発大手、サイボウズの取り組みは、「時間や空間に縛られない働き方」の手本といえます。 

同社の「選択型人事制度」では、勤務時間と勤務場所を段階的に組み合わせた9種類の働き方があり、ひと月ごとに選択し直すことが可能。  

たとえば「今月はオフィス勤務の時間を長く、在宅勤務を少なくしよう」「来月はオフィス勤務を短く、在宅勤務をやや多めにしよう」という具合に、その時々のライフスタイルに合わせて働き方を柔軟に選べるんです。

このように時間や場所に縛られず働くことができれば、家事や育児、介護などと仕事を両立しやすく、副業もしやすくなりますよね。

同社は06年からこうした働き方の改革を実行し、12年からは社員の副業も全面的に支援。会社に損害を与える仕事でなければ、何をするのも自由で上司に報告する必要もないそうです。

給与は転職相場などから独自に算出され、定年はありません。しかし、退職金も出ないそうです。

「50歳を過ぎると給与は下がる傾向に。社員には会社に頼らなくても生きていけるよう自立することを求めています」と同社広報は語っています。

私も名前は聞いたことのある企業でしたが、参考までにホームページを見てみました。非常に楽しそうで、社員の方々が生き生きと働いているのが伝わってきます。若い人達は働くんだったらこのようなとこで働いたほうが絶対に良いのになって思います。

https://cybozu.co.jp/  

その他、他社の取り組み

大手のロート製薬も社員の副業を認める「社外チャレンジワーク制度」を発表し、話題となりました。

その一方で、創業当初から「専業禁止」の方針を打ち出した面白い会社もあります。11年にオールアバウトから新設分割し、インターネットサービス事業を展開するエンファクトリーです。加藤健太社長はこう語っています。

「実際は副業を強制しているわけではなく、副業の機会を提供しているだけです。サラリーマンでは決して持ちえない経営者目線が身につきますから。そうなると社員一人ひとりが成長し、会社にとってもプラスになります。つまり私たちが副業を勧めるのは、飲食店のバイトなどではなく、自分で商売をしてほしいということです」

まさに、全く同意見です。副業を何故禁止するのか正直分かりません。企業にとって全くマイナスではなく、プラスでしかないと私は思います。間違いなく人間として成長できますし、色々なスキルが身につきます。これからの企業は副業を当たり前のように認めるべきです。そうじゃないと間違いなく置いていかれますね。  

実際、同社の社員になってから個人事業を始める人は多いそうです。

その一人、山崎俊彦・ショッピングユニットCSマネジャーは、人気犬種パグの衣類などを受注生産するネットショップの経営者です。

開業から2年半を経た今年8月に法人化を果たしました。これもすごいことです。

「副業の規模が大きくなると、普通は会社を辞めるものかもしれませんが、私は辞める気はありません。エンファクトリーにいる限り副業は自由にできますし、社員の安定性はやはり魅力です」と語る山崎さん。

まさにおっしゃる通り。副業は会社にとってプラスでしかありません。間違いないです。 

しかも同社は裁量労働制、フレックスタイム制で、出社・退社時間は決まっていません。業務時間中に副業をするのも自由。唯一のルールは、半年に1回、全社員の前で自分がどんな副業をしているか発表することです。

しかもこの場は飲食を伴うフランクな発表会。このような場が、「副業に対するすべての懸念を払拭する」と加藤社長は言います。

「副業をコソコソやっていると社内の目も厳しくなりますが、オープンにすれば、他の社員たちの刺激にもなるし、応援してもらえる。そうなると、本業で成果を出さなければカッコ悪い。副業をオープンにすることで、本業をサボれなくなるという効果があります」  

うまい戦略ですよね。素晴らしいと思います。

自由に副業ができる分、本業でいっそう結果が求められるわけですね。この発表会には、他社の人事担当者も見学に訪れるそうです。

リモートワーク

そして、「時間や空間に縛られない働き方」の一環として、「リモートワーク」を導入する企業も増えているそうです。ちなみに、リモートワークとは、自宅やカフェなど、オフィス以外の場所で仕事をすることです。

リクルートホールディングスは、全従業員を対象に上限日数のないリモートワーク制を導入。グループ全体で数千人が活用しています。

また、トヨタ自動車は1万人規模の社員を対象に週1日、数時間だけ出社すれば、自宅や社外などで働ける在宅勤務制度を導入しています。

さらに、三井物産、ホンダ、日本マイクロソフト、リコーなども在宅勤務を取り入れています。  

一方でこうした自由な働き方が許容され、会社の管理が緩くなると、懸念されるのは、社員の転職へのハードルが低くなること。多くの企業が副業解禁に消極的なのは、ひとつには人材流出を恐れるからと指摘されていますが、杞憂のようです。前出のサイボウズは、かつて離職率の高さが問題となり、06年から働き方の改革に取り組み離職率が低下しました。

「離職率は大幅に低下しています。多様な働き方を認めることが、社員の定着につながったのだと思います」と広報の方は語っています。

同社の離職率は、05年に28%と過去最高でしたが、06年に最長6年の育児・介護休暇制度、07年に選択型人事制度、12年から副業を解禁し、16年現在の離職率はなんと4%以下まで低下したんです。すごいですよね。制度を導入して、しっかりと成果を出している。うちの会社みたいに、制度だけ作って満足して絵に描いた餅で終わる企業とは雲泥の差です。  

さらに、前出のエンファクトリーの加藤社長も「副業解禁が人材流出に直結するとは思わない」という意見。

「かつてサラリーマンは終身雇用で退職金も潤沢、一生一つの会社に勤めていれば安泰でした。しかし今は、どんな会社でも安心できる時代ではありません。なのに、会社が社員を囲い込もうとすれば、優秀な人ほど辞めていくと思います。社員より会社論理を優先するような会社についていく気になれないですからね」  

「優秀な人ほど辞めていく」。この言葉がすべてを物語っている気がします。うちの会社もそうなっていくと思います。うちの会社は何もしないで上司に媚びを売る人、気に入られる人が昇格・昇進が早いです。そして、優秀でまともで、変革をして改善していきたい人ほどやる気をなくしていくという非常に困った状況です。なので、いずれ辞める人も出てくるでしょう。

再度言いますが、副業解禁は、いまや企業にとってリスクではなく、アピールポイントです。「副業OK」で検索すると、多くの就職情報サイトの特集ページがヒットします。

「求人情報に副業可と書かなければ、優秀な人材が来てくれない」という時代も近いですね。

まとめ

一方、懸念されるのは、ダブルワークによる長時間労働。仮に「時間に縛られない働き方」を選べるとしても、二つの仕事をするとなると、必然的に労働時間が長くなるのではないでしょうか?  

エンファクトリーで副業をする山崎さんは自身の体験をこう語ります。

「確かに本業が忙しい時期は、副業のために睡眠時間を削ることもあります。でも、仮に『今夜7時から会社の飲み会がある』となったら、みんな必死で仕事をして、早く終わらせますよね。実はダラダラ残業していただけで、作業時間は圧縮できるものです。私は副業をすることで、時間を効率的に使えるようになりましたよ」  

まさに、これも本当に副業のメリットなんです!残業なんて甘いからするんですよ。時間を大切にして、必死で仕事したら残業なんて基本する必要ないと私は思います。副業をすると、「時間」というものの大切さが本当によく分かります。まだ副業と呼べない私ですらそう思うんですから。大きなお金を稼いでいるとなるともっと時間を大切にするし、敏感になるでしょう。うちの会社は、生活残業をしている者もいる始末。どうしようもないです・・・。

さて、話は戻ります。同社の加藤社長も、「副業を推奨し始めたら、分社前より残業が2割減った」と話しています。 「確かに本業が忙しい時期は、副業のために睡眠時間を削ることもあります。でも、仮に『今夜7時から会社の飲み会がある』となったら、みんな必死で仕事をして、早く終わらせますよね。実はダラダラ残業していただけで、作業時間は圧縮できるものです。」

副業を解禁すると、労働基準法などによる制限を受けるのではないか、と懸念する声もあります。でも、議論もせず、多様な働き方を認めないというのは労働者のためにならず、本末転倒。労働法制は時代と共に変わるべきなんです。いずれ年金の支給開始年齢が70歳になるかもしれない状況下で、ほとんどの人にセカンドキャリアが必要になるのは間違いありません。その準備、訓練という意味でも副業を認める流れになってきています。

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