世間では、人手不足人手不足と言っておりますが、大企業で定年前の退職を募る早期退職は逆に増えています。2019年1~6月には上場企業の17社が合計で約8200人の早期退職者数を発表し、半期で18年を上回りました。製薬系の会社など、業績が好調なうちに人員を適正化して事業環境の変化に備える動きも目立っています。応募者側も人生100年時代をにらみ、早期にキャリアの再設計に動く中高年も増えているとのこと。
■業績好調な製薬も
調査会社の東京商工リサーチによると、2019年の1~6月に上場企業が募集(または応募)を発表した早期退職者数は、18年の年間(12社、4126人)の人数の約2倍になったそうです。7月以降もこのペースなら2019年は年間で13年以来6年ぶりの1万人超えとなりそうとのこと。
本当につくづく終身雇用は終わりを告げていますね。中高年もそのような思考を持つ方がそれだけ増えていると考えていいんじゃないでしょうか。でも私は終身雇用なんかよりいろんな事業や会社でいろんな経験をつんだほうが間違いなく魅力的な人間・人生になると確信していますし、中高年の方々も、チャレンジ精神を持つ方がどんどん増えてくれれば、日本はもっともっと良くなるんじゃないかと思っています。
なかでも、45歳以上を対象にした早期退職者数が増えているようです。
エーザイでは応募が当初見込みのなんと3倍にのぼり、コカコーラやアルペンでも募集より20~35%程度多く集まったらしいですね。
2019年1~6月の17社のうち人員が多かった業界は電機(5社)と製薬(4社)。
電機は経営再建に揺れる、ジャパンディスプレイ(JDI)や富士通など経営不振による人員削減でしたが、製薬は違う様相を呈しています。
中外製薬は4月に45歳以上の早期退職者を募集しました。応募は172人にのぼりました。同社は2018年12月期の純利益が2期連続の過去最高を達成したばかり。それなのになぜ?と思いませんか?
理由としては、「デジタル化で経営環境が大きく変わり、従来の専門性や技術で競争力を維持するのは困難」(同社)と将来への危機感が強いようです。希望者に退職金と特別加算金を支給し、外部の専門会社による再就職支援までしてくれるそうです。
東京商工リサーチの二木章吉氏は最近の希望退職について、従来のリストラ型から「成長分野に事業転換するため余裕のあるうちに人員構成の見直しを進める『先行実施型』が増えている」と指摘しています。
要するに、会社側も雇われる側も意見が一致する場合が結構あるってことじゃないですかね。会社側が上記のように考えているとすると、雇われる側も、歳をとりすぎない今のうちに最後にもっと良い会社にキャリア転職したいって気持ちがあって、それがマッチしているんじゃないでしょうか。だから、ビズリーチやエンジャパンのミドル転職などの市場が活況を呈しているんだとも思います。もちろん、独立する方などもいると思いますけど。
会社側の狙いとしては、1990年代に大量に採用されたバブル世代(19年に49~52歳)や人口が多い団塊ジュニア世代(45~48歳)を削り、若手を増やして新分野の技能を育てるということだそうです。
■デジタル化に若手必要
年功序列型の賃金では企業の負担が大きい。厚生労働省の賃金構造基本統計調査によると大企業で年齢別に賃金が最も高くなるのは50~54歳(男性)で平均月給は51万円。45~49歳も46万円と高いです。
団塊ジュニア世代が50歳に近づき「多くの企業で中高年がボリュームコストになっている」(日本総合研究所の山田久主席研究員)。一方で同所の調査では、およそ1千社の約8割が「若手の人材が不足」と答えたそうです。
これって・・・やはり最近の若者たちが、企業に就職という形をとらずに、ネットビジネスなどで個人でやっていく人が増えているってことの現れなんじゃないでしょうか。私はそれもあるんじゃないかと確信しています。
先ほどお話ししたエーザイも、2020年3月期に3期連続で増収増益を見込んでいますが、デジタル対応や新薬開発に向けて組織の若返りを進めている形です。
45歳以上の約300人が3月末までに早期退職。これはなんと全従業員の9%にあたる人数とのこと。新卒採用は例年の約40人から100人規模に増やし、初任給を上げたほか20~30歳代の給与もベースを引き上げたそうです。
日本経済新聞社が今月まとめた「社長100人アンケート」では5割超が年功序列型の賃金制度を見直すと回答したそうです。業績が良く余裕のあるうちに退職金などを上積みして中高年の転職を促す。攻めの早期退職は人事と賃金制度の抜本見直しにもつながりそうですね。
うちの会社もハッキリ言って年功序列です。どんな人でも課長代理くらいまでならなれます。だから甘いし緩いんですよね。公務員的な体質です。バリバリの民間でバリバリ働きたいって人には向かないと思います。そして成長は全然できない職場だと思います。だから私も独立に向けて動き始めたうちの一人。ここにずっといる時間が勿体なくて仕方ないと思うようになりました。給与や普通ですが、福利厚生は滅茶苦茶良いので複雑と言えば複雑なんですがね。うちの会社は独立などを考える人のほうが少なく、のんべんだらりと悪くない給料をもらってこのまま定年まで行こうって人ばかりです。まさに公務員。
■「人生100年」見据える
中高年の転職は難しいとされてきましたが、そんな時代はもう終わっています。過去のブログでもさんざん書いてきているので、もうご存知の方も多いと思いますが、過去の常識が崩れつつあるというかもう崩れています。
総務省の労働力調査では、18年の転職者数は329万人で8年連続で増。年齢別では45歳以上の転職者が124万人で5年前に比べ3割以上も増えているんです。
日本人材紹介事業協会(東京・港)がまとめた人材紹介大手3社の紹介実績でも、18年10月~19年3月の41歳以上の転職者数は5028人で、前年同期比でなんと40.4%も増えました。世代別でも最も伸び率が大きいです。
リクルートワークス研究所によると、企業が年功序列型から成果主義型にシフトするなか、上場企業で40歳代で課長になる人は10年前に比べて2割減りました。大久保幸夫所長は「40歳代で会社での自分の先が見えてしまい、モチベーションを持って働くために早期退職で新天地を求める人が多い」と分析しています。
まさにそのとおりだと思います。私もすでに会社での自分の先が見えています。だから今の会社で働くモチベーションがダダ下がりなのは間違いありません。だから結構精神的に辛いんです。毎日行きたくないですし。できれば有給休暇をフルに取るつもりです。子供のため、家族のために今はこの会社で・・・という気持ちがあり続けていますが、近い将来こんな会社じゃなく自分の力でノマド的に働くために動いています。絶対に実現させます。
また「今のうちに厚待遇を提示してくれる別の会社に移り70歳まで働きたい」(メーカーを早期退職した55歳男性)と長く働ける環境を求める人もいます。
政府は人生100年時代を見据え、中途採用の拡大に力を入れています。大企業には中途採用の比率の公開を求める方針です。転職先の選択肢が広がれば、成長企業への人材移動が進みやすくなります。
中途採用市場が広がり、年功ではなく実力主義の評価・賃金制度を持つ企業が増えれば、高齢者も60歳を超えて再雇用になって賃金が一律でカットされるといったことがなくなり、モチベーションの維持にもつながるでしょう。
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